小さくても豊かな家

通勤や通学、買い物が便利、お気に入りのカフェやお店があるなど、都心に暮らすには多くの魅力があります。

しかし東京など都心に家を建てる場合、土地価格が非常に高く思いどおりの敷地を手に入れることは難しくなります。都心に一戸建てなんて、、、と諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。

狭小地や旗竿敷地・変形地を探したり、あえて小さな家に住むという選択肢もあるのではないでしょうか。小さな土地を手に入れ、コンパクトにつくりその分、居心地や素材などにこだわりを持ち、豊かに暮らすこともできるのです。ファミリータイプの分譲マンションと同じくらいのコストで、世界に一つしかない小さくても広がりある自分らしい家を建てることも可能なのです。

家の大きさ広さだけを求めても、心地よい家はできません「小さく豊かな暮らし」という価値観もあるのではないでしょうか。小さくても広がりある家をつくる。限られたスペースを有効に活用するための、工夫やポイントを考えてみましょう。

①視線を通す。(抜けをつくる)

間仕切り壁を細かくつくらず、できるだけ空間を繋ぐようなワンルームでプランを考えるようにします。

視線の先にすぐ壁をつくらず、窓や家具、階段などでその先の空間と繋がり気配が感じられるようなプランとすると、小さな空間でも広がりが感じられるようになります。また上下階に吹抜けを設けて、縦の空間へと広がりを持たせることもできます。

②外部空間の利用。

内部と外部空間が繋がる場所、例えば玄関アプローチや濡れ縁やデッキなど中間領域と呼ばれる場所を有効利用する方法もあります。中間領域は、内でも外でもない建築面積にも入らない曖昧なスペースです。自然を身近に感じる場所であり、暮らしにも広がりをもたらします。

③天井高さのメリハリ

同じ天井高さにするのではなく、天井の高いところ低いところをつくることにより、空間を仕切りつつ連続性を持たせることができます。例えばキッチンとダイニングの天井高に差をつけて雰囲気を変える、寝室は天井をあえて低くして落ち着く感じにするなど、目的や空間の性格に応じて変化をつける方法もあります。

④収納計画

小さな家の収納はスペースを確保することが、大きな問題となっってきます。延べ床面積が限られてくるので、本当に生活に必要なものか取捨選択する、量より質という考え方も必要になってくるのではと思います。

収納計画では、収納スペースを大きくとることではなく、例えば洗面には洗面用品やタオル類といった具合に、必要なモノが「適材適所」にあるということが大切になってきます。

⑤回遊動線

回遊動線とは、家の中で行き止まりが無いようにぐるっと回れるようなプランのことです。例えばキッチンからパントリー、リビングと回遊できるようにし、小さな家でも家事などがスムーズに行えるようにプランを考えます。建具を引戸にすることも、スムーズな動線に繋がります。

⑥室内環境

小さな家では、各階や各部屋ごとに冷暖房をするのではなく建物全体で温熱環境を考えることが大切です。風の通り道や日当たりはもちろん。暖かい空気は上昇し、冷気は下がる性質を利用し、1階から3階の空気を循環させるという方法もあります。

都心に住みたい、小さくても自分のライフスタイルにあった楽しめる暮らしをしたい、リタイア後の終の棲家を小さな家で過ごしたい。 小さな家を求められる理由は様々です。また小さい家は、コストが掛からず手入れや掃除がしやすいなど、大きな家にはない魅力があります。広さだけあっても心地よい住まいをつくることができません。小くても工夫やアイデアを積み重ねてゆけば、豊かで広がりある家をつくる事ができるのです。