住まいの考え

-建主さんといっしょに家をつくる-

家は「買うもの」ではなく「つくるもの」だと考えています。
家は人の個性と同じ、全て違うもの。建主さんの「夢をカタチに」一つ一つ丁寧につくりあげていきます。
建主さんが「大切にしたいもの」は何なのか?「ふつう」と思っていることは何か?「心地よいと」感じる場所やコトはどんなもの?
ご自身やご家族のことを深く見つめ直すことは、普段はあまりやらないことかもしれません。でもそれらが家づくりの基礎になってくる大切なことなのです。建主さんと私たち設計者がそれらを共有していくことで「建主さんらしい家」ができるのです。じっくりとでも楽しみながら、一緒に「世界に一つしかない家」をつくっていきましょう。

-敷地とまわりの環境-

住まいの設計を始めるにあたり、そこに建つ建物だけでなく敷地のまわりの環境や道路、地盤など十分に調査し、 敷地環境を最大限に生かしたプランを考えていきます。
家のまわりが隣家に囲まれた住宅密集地もあれば、田園風景が広がる敷地もありさまざまです。光や風の入り方、外からの視線や音、隣家の窓の位置など、その敷地ならではの特徴をよく観察します。
例えば、住宅密集地では、周りの視線を遮り、光や風をどのようにして自然に取り入れ、明るく心地よい空間ができるのか、模型や図面で検討を重ねアイデアをだしていきます。

-温熱・室内環境-

夏涼しく、冬温かい住まい。夏は外部の熱気を室内に入れないように、冬には暖かさを外に逃がさないようにすることが、快適でエコな住まいの基本です。住宅性能表示基準の「省エネルギー対策等級4」以上を標準としています。
断熱の考え方は、敷地がある地域や建物の構造によっても変わってきます。
外断熱か内断熱か、断熱材の種類、サッシやガラスの種類、などその土地に必要な等級のもの、住まいに適材適所のものをとりいれることが合理的で無駄のない考え方だと思います。
私たちはパッシブデザインの考えを取入れています。また、無垢のフローリングや珪藻土、和紙など自然素材を取り入れることにより、調湿機能や保温性が保たれ、ホルムアルデヒドに代表されるVOCの放散量の少ない良好な室内環境をつくることができます。

-構造について-

全ての住宅において、構造専門の構造設計一級建築士事務所と共に設計をおこなっています。
法規上は2階建て以下の一般的な木造建築は構造計算の義務はありませんが、N値計算以上の検討を行い、構造計算をすることにより、より強固で安全な耐震性を考えています。 住宅性能表示基準の「耐震等級2」以上を標準とし、必要に応じて「耐震等級3」への対応をいたします。
特に地盤に対する基礎や杭などの選定方法、柱、梁、土台に取り付ける金物などの種類、など構造設計によってより細かく安全な設計としています。

-見積もりやコストコントロール-

設計事務所が工務店やハウスメーカーなどと大きく違うところは、見積書のチェックです。設計事務所は、設計と現場監理を主な業務であり、施工会社とは独立した立場となります。
そのため、第3者としての立場から、見積金額が妥当な金額となっているか、数量や仕様など間違っていないか、などを建主さんにかわってチェックできます。
建築工事費はおおまかに、材料費+職人さんの人件費+工務店さんの経費です。材料費や人件費が適当な金額か、数量の間違いが無いかなどチェックすることができるため、純粋に建物を建てるための見積もり金額を確認することができます。
建主さんには、大抵ご予算の上限があります。もしそれをオーバーした場合、本当に必要なものは何なのか、建主さんと優先順位を話し合いながら、ご予算に収まるように仕様を変更したり工夫をし、予算内に収まるように提案していきます。

-暮らし方の変化に対応-

家が完成してから家族の人数や暮らし方が変わっていくことは、自然なことです。
例えば子供室は、家が完成した時には、小さい子供たちは同じ部屋でよくても、中学、高校生となり、自分のスペースが必要になった時、大掛かりなリノベーションをしなくても、個室へと分割しやすいようフレキシブルな計画にしておきます。
窓や入口の建具、照明やコンセントなど、個室に分けた場合を想定してつくっておくと、収納棚などで簡単に間仕切り、各自の部屋をつくることができます。

-小さくても豊かな暮らし-

私たちの自宅+事務所は、建坪9坪の3階建て、住宅密集地に建つ小さな家です。
でも床面積の数値よりもずっと広がりのある空間になっているかな~と思っています。視線を通す工夫や天井高による室内の奥行、空や緑の借景、坪庭、収納計画や家事動線などなど。小さな面積でも広がりのある空間をつくるための楽しい工夫が沢山あります。

都心の小さな家においても、トップライトから満月が見えたり、光や風が心地よく、四季や自然を感じながら暮らす家をつくることができます。

-内と外の繋がりを楽しむ-

中庭やデッキ、土間、広い縁側などは内と外を繋ぐ場所にあり、季節の良い時ゴロンと昼寝をしてみたり、お茶を楽しんだり、時にはバーベキューパーティーをしたり、外の自然を感じながら、趣味やいろいろな楽しみに使える場所となります。
また、内と外の繋がる場所は、季節の移ろいや植栽など日々の暮らしに潤いをあたえてくれます。

-まちなみに溶け込む住まい-

家は建て主さんのものであると同時に、まちの風景の一部ともなります。

一軒一軒の家が集まりまちなみをつくり、地域環境を形づくっています。
住まいは、道行く人も愉しめるような美しく魅力的なまちなみの一部でもありたいと考えています。奇をてらうデザインではなく、シンプルな佇まいで昔からそこにあるような、まちなみに溶け込む住まいをつくりたいと思います。