「リノベーションという選択」
キッチンや浴室の一部やり替え、壁紙の張替えなど比較的小規模な工事をおこなう「リフォーム」と違い「リノベーション(リノベ)」とは、建物を柱と梁だけの骨組み状態にして、新たに間取りを考え直し、耐震補強をおこない、老朽化した設備配管などを取替え、もとの建物性能以上に再生させる工事のことです。
■ 選択の理由
リノベする理由は、ライフスタイルの変化、住み慣れた家に愛着がある、実家を2世帯住宅にして子供世帯と暮らしたい、中古住宅を購入し自分たちに合うようにカスタマイズしたい、建替えてしまうと面積が減ってしまう、少しでもコストを抑えたいなど様々です。
木造住宅は柱と梁が構造体となっているので改築しやすく、大きく間取りや水回りを変更しても適切に設計してゆけば何世代にも渡って住み続けることが可能です。
■ リノベのポイント
リノベする場合は、先ずは今までの住まいのどこが使い勝手が悪く、どこが気に入っているか、今後ご家族がどのような生活をイメージしているのか見直す必要があります。
長年暮らした住まいでしたら、どの方向からの日当たりが良いか、どこから風が入ってくるか、窓からの風景の見え方など、その住まいならではのメリットを十分に生かすことができますね。
■ 再利用
年季の入った柱や梁、今ではつくることが難しくなった手の込んだ障子や欄間は、何十年も使い込まれているモノだからこそ味と深みが生まれ、住まいに寛ぎや落ち着きをもたらせてくれます。
古材や書院格子、障子、欄間、床柱など、古いもの中に、新しい価値を見いだし、以前の家の記憶を再利用することも考えられます。
■ 耐震補強と断熱性能
建物の構造基準は、昭和56年に「耐震」に対する考え方が根本的に改正されました。このことから、改正以前の基準の建物を「旧耐震の建物」、以降の建物を「新耐震の建物」といいます。旧耐震の建物は、現状の耐震診断をおこない、今の構造基準を満たすように補強計画を考えなければなりません。
また古い建物は、断熱材が入っていなかったり、サッシが単板ガラスだったりと、断熱性があまり良くないことが多いので、断熱性能も検討事項となります。
■ コストについて
表面的な化粧直しだけでなく、間取りの変更や構造補強や断熱性能アップ、設備機器の取替えなど、リノベはやりだすとキリがなく、新築に近いコストが掛かってしまいます。また、実際に工事に入ってからいざ解体してみると、あらたな老朽化個所がみつかったり手直ししなければいけない部分がでてくる場合もあります。
最初からアレもコレもと考えず、問題の緊急性や重要度に応じて、優先順位を決め計画を進めることも大切です。
また耐震補強や断熱・バリアフリー改修などは、国や自治体の助成金もあるので、上手く利用するのも一つの手ですね。