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コラム

「住まいの省エネ」

■「住まいそのものを省エネ設計に」

省エネルギーな住まいとは、電気やガス、水道など家庭内でのエネルギー消費を減らすとともに、心地よい室内環境を目指しています。そのためには省エネ効果の高い設備機器を選ぶことはもちろん、自然エネルギーの利用や建物の断熱性など住宅そのものを、省エネ設計とする建築的手法が大切となってきます。限りある資源、地球環境問題や3.11の大震災原発事故以降、住まいにおけるエネルギー問題は増々重要課題となってきています。

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左図は、家庭内のエネルギー消費をグラフにしたものです。家庭でエネルギーを多く使う機器は、電気、ガス、石油等全エネルギーの合計では、給湯32%や冷暖房20.6%が上位を占めています。
給湯はお風呂や洗面、キッチンにお湯を出すための給湯設備、お風呂好きな国民性を表していますね。冬の暖房は、エアコン、電気、ガス、石油ストーブなどとと種類が多く、また外気との温度差(例えば外気0℃から室内23℃に設定するなど)も大きいため、夏の冷房よりかなり消費量が多くなっているのも注目するところです。
そして給湯、冷暖房、厨房、照明の合計で約70%、これらは住まいの設計に直接関わってくる部分です。

右図の電気の使用量だけを見てみると、冷蔵庫、照明器具、テレビ、エアコン、電気温水器で約50%となっています。また、家庭内で消費電力が大きいものは、IHクッキングヒーター(5000Wh)エアコン(500Wh:6畳用)照明(500Wh:一般的な住宅)冷蔵庫(500Wh:500L)といわれています。ちなみに扇風機(50Wh)はエアコンの1/10と少ないので利用価値がありそうですね。

そして見逃せないのが、家庭で1年間に消費する電力量のうち約5%が待機時消費電力というデーターもあります。コンセントを必要以上に計画するより、こまめにスイッチの入り切りができるテーブルタップを利用するのも一つの方法ですね。

これらのデータを見てみると、室内を冷やしたり温めたりするエネルギー消費量の多い機器の使用頻度を出来るだけ抑え、建物自体の断熱性能を高めることや、光や風などの自然エネルギーを利用する「建築的手法」が、省エネルギー効果を高めることに繋がってくることがわかります。(グラフは経済産業省、エネルギー庁ヨリ)


eco02 ■断熱性能

住宅全体の外気に接している部分(床・外壁・天井又は屋根)を、断熱材で隙間なく包み込むことが基本となります。断熱材はその内部に空気を固定することで熱を伝えにくくする素材です。高性能グラスウールやセルロースファイバー、硬質ウレタンフォームと多くの種類がありますが、建物条件にあった適材適所な素材を選択することが大切です。
木造住宅の場合は、外断熱と内断熱(充填断熱)の差はあまりありません。またシーリングファンや循環ダクトなどを利用し、室内の温度差(ヒートショック)を無くすことも大切ですね。







eco03 ■開口部の断熱

開口部は、もっとも熱損失が大きい部分です。窓や玄関ドアなどから逃げる熱は、住宅全体の30%をとも言われてます。いくらエアコンを利かせても、窓の近くは夏暑く、冬は冷気が感じられる部分なので、断熱の重要なポイントとなります。
窓の断熱性能は、ガラスとサッシの組み合わせによって決まります。熱エネルギーの吸収、再放射率を低くするために、ガラスの表面に特殊コーティング処理し、熱エネルギーの吸収と再放射を低減し、熱を伝達しがたくする働きをするLow-Eガラスや断熱性、気密性に優れた樹脂サッシなどがあります。
またローテクな方法ですが、庇の長さや、窓面にブラインドやカーテン、すだれなどで日射の調整するのも意外と効果が大きいのです。




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■高効率な設備機器

LED照明や節水型トイレ、高断熱浴槽、省エネ型エアコンなど高効率設備機器と呼ばれる製品が増えてきました。エコポイントなど助成制度もあるので、性能や消費エネルギーを比較検討し、選択していくようにします。

何といっても太陽光は優れた高効率のエネルギー、昼間は照明を点けなくても、過ごせるような採光計画も大切ですね。




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■自然エネルギー利用

そして最も効果的なのが、太陽や風、雨など自然の恵みを効率的に住まいに利用する方法です。
夏は日射を遮り、冬には温かい太陽光を取り入れ風の流れを考え機械設備に頼りすぎないように、建物形状やプラン、開口部の位置やサイズを検討し計画してゆきます。
木や漆喰、和紙などの自然素材も調湿性能があるので、心地よい室内環境をつくる要素となります。グリーンカーテンや屋上緑化、雨水利用などもありますね。
また、軒下や縁側などの中間領域、土間や坪庭など昔からの住まいの知恵も省エネに繋がっているのです。自然の摂理に逆らわず、上手に住まいに取り入れてゆくことにより、快適で心地よい省エネな住まいとなってゆくのです。


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