鍵善 くずきり-miyamoto

080812kanazawa01 やっぱり京都は暑くて、街中にいるとつい一休みしたくなります。 祇園の鍵善でくずきりと、生菓子とお抹茶をいただきました。大きな漆器の椀にくずきりと黒蜜が。。その静謐な様子は、谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」の中で漆器について語っているところをふと思い出しました。もっともくずきりの話ではなく暖かい汁の話ですが。漆器のもっている底が深い色、吸い込まれそうな黒蜜の色、半透明な白のくずきりが黒い漆器の椀に浮かんでいる様子。

「・・漆器の椀のいいことは、まずその蓋を取って、口に持っていくまでの間、暗い奥深い底の方に、容器の色とほとんど違わない液体が音もなく澱んでいるのを眺めた瞬間の気持ちである。・・・」「日本の料理は食うものでなく見るものだといわれるが、こういう場合私は見るものである以上に瞑想するものであるといおう。そうしてそれは、闇にまたたく蝋燭の灯と漆の器とが合奏する無言の音楽の作用なのである。」そうか、夜 蝋燭のもとで食したほうがもっと美しいのかも?まあそこまでしなくても十分に満足、流石です。

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 生菓子は6個くらいお盆に入れて 持ってきてくれたものの中から選べます。夏らしい涼しげなお菓子にしました。こんなところにも涼を楽しんでいるんですね。