家を建てるのは人生を賭けた大仕事ということで当然、風水や家相を気にする建て主さんからの依頼もある。そんな場合、家相図など参考とする。
以前仲間の建築家から聞いた話。住宅の工事現場にて柱・梁が組みあがり、めでたい上棟式の日、顔を真っ赤にして怒りまくった人たちが乱入してきたと言う。どうやら2軒隣の家族一同総出で、「さんりんぼう」なのに上棟式をするなんて何を考えているのか!信じられん!とカンカンのようす。
しかし、その場に居合わせた、建て主さん・現場監督・職人・設計者、「さんりんぼう」が何なのか何でそんなに怒り狂っているのか、誰も分からない。頭からシューシュー蒸気がでている隣の夫婦、恐れ慄くおばあさん・うろたえる子供たち・・・・・スッカリ取囲まれ困り果てた設計者、携帯をいろんな所にかけまくり、ようやく「さんりんぼう」の意味を突きとめた。
さんりんぼう→三隣亡→向こう三軒両隣を亡ぼす日、この日の地鎮祭や上棟式は大凶とされているらしい。
結局、今後の近所付き合いもあることだし、式は即刻中止。
しかし後で、じっくり調べてみると「さんりんぼう」は明治の頃までは「三輪宝」と言われ吉日だったとのこと。しかし何時の頃からか「三隣亡」と記載が間違った暦が出回り、意味が反転してしまったとのこと。すなわち、タダの間違いやん、なんの意味もないですやん。
風水や家相・暦などは、昔から受け継がれている生活の知恵、しかしそれらに振り回され過ぎても、元も子も無し。