宮川町から鴨川を渡り、少し歩いた所に古ぼけた楽園がある。
江戸時代から続づく遊郭街である。しかし宮川町や祇園のように京の五花街には入っていない。観光ガイドにも載っていない、いわゆる赤線の町。戦後、売春法が施行される。五花街は芸を売り生き残った、春を売ることを生業としたこの町は衰退の一途を辿る。しかし今も、料亭やお茶屋などに名前を変え、残っているお店がある。
足を踏み入れるとタイムスリップ、なんとも怪しげな世界が広がってゆく。
昔、賑わっていた頃を思わせる格式ある遊郭建築。
隠微な緑青屋根。静寂な町なみ。
その昔、友達のTがこの町に住むことを思い立ち、黒いスーツにオールバック決め、会津小鉄会の門を叩いた。ホールにはイカツイ兄さん達がビシッと整列。すっかり取囲まれ押し問答、「この先、思いやられるわ」と悟った無鉄砲なT、、、、、断念したのは言うまでもない。そうこの町は、その筋の人たちが取り仕切っているのである。