個人の住宅は、正解はなく、そこに住むご家族の状況やご希望に沿いながら、住む人にとって心地よいものであればよいと考えています。2世帯住宅も同じ、○○型のようなものは、本当はないように思います。
都心の土地は高く、もしご両親が2世帯住宅が建設可能な広さの敷地に住んでいるのであれば、子世帯と親世帯の二つの家族が一緒に住むことは、合理的な方法かと思います。
2世帯住宅では 親世帯が1階、子世帯が2階で完全に分けて作ることが多いです。しかしこれも考えてみれば、型にはまっているように思います。ご高齢になっても元気な方はたくさんいて、最初から将来は車椅子になる と元気なうちから決めなくてもよいのかもしれないと最近思うようになりました。玄関と階段を共有しながら、2世帯とも 1階も2階もあるほうが、特に都心の場合、2階のほうが日当たりなどがよいので、ふたつの家族が暮らしの条件が平等になっているように思います。親世帯だって 2階にいってベランダでお茶でも飲んでゆっくり過ごしたいと思ってもよいのです。
今まで2世帯住宅をつくってきた時、気が付いたちょっとしたこと、つくってみてよかったことなど、ご紹介したいと思います。まずはじめに問題になるのが、「玄関を共有して一つにするか? 各家庭別々の二つにするか?」 です
■玄関を共有して1か所にした住宅
ひとつにするメリットは、当然コストが抑えられ、スペースも1件分でよいことです。ただ、靴など収納の確保を2件分必要なことです。
〇共有のシューズクロークがある玄関


細長いスペースですが、あえて建具はなくオープンにしています。大容量の収納棚です。靴をおいても掃除がしやすい素材で造作しています。

普段使いの子世帯用靴収納。階段をのぼって2階が子世帯です。
〇階段下を土間の収納スペースにした玄関。



間口の広い靴収納は共有で使用。反対側の開口部分は階段下の収納スペース。ベビーカーや子供用品などを収納できます。
どちらもコンパクトにまとめながら、2件分の収納をつくることで、玄関まわりがスッキリ片づけられるようにしています。