東京の真ん中にまだこんなところが残っているとは・・・。地下鉄の階段を登り、商店街を抜け高層マンションやビル通りを越えると、ぽっかりと忘れ去られたような昭和のニオイする場所にでた。阿佐ヶ谷住宅は1953年、350世帯で構成された公団の分譲住宅。テラスハウスの一部は前川國男が設計。"個人のものでもない、かといってパブリックな場所でもない、得体の知れない緑地のようなもの(=コモン)を、市民たちがどのようなかたちで団地の中に共有することになるのか"をテーマに配置計画が考えられた。豊かな緑に囲まれた各住宅には塀が無く、道路との間にはブランコ付きの緑地=コモンあり自由に入ることができる。残念なことに建替えが決まっていて、高層マンションとなるそうだ。ここには便利さの犠牲となってしまった、精神的な豊かさが残っている。