住宅密集地の狭小住宅は、建築的な工夫なしで建ててしまうと、自然光が入らず、昼間から電気をつけたり、また風が通りにくい家になってしまいます。狭小住宅でも 建築的に工夫をすることで、自然な光が入り風が通り抜けるような住まいをつくることができます。いろいろな方法がありますが、一例として自邸「中延の家」での光や風のとり込み方をご紹介します。

敷地面積16坪、建築面積9坪、東側に4m道路、周囲は住宅に囲まれています。このような敷地で南側に大きな窓を開けたとしても隣の家との距離が近い住宅密集地の場合、光が室内奥まで入りません。そこで、建物の中央に1坪の空間を開け、そこから建物全体に光を取り入れ、風も通るような住宅にしました。コンセプト模型の写真をご覧いただくと、建物中央に空間が開いたコの字のようなプランをしているのがわかります。

コの字に空いた1階玄関前。小さな坪庭があります。

そして玄関を開けると建物中央には、螺旋階段があります。

螺旋階段は仕切らずに、各階ともオープンに繋がり、1階から3階までの吹き抜け空間となっています。


3階には東、南、西まで窓が沢山あるため、朝陽から夕暮れまで一日中 太陽の日差しが入る明るい空間になっています。


そのため、3階からの光が螺旋階段の吹き抜け空間を通って、下の階へ太陽の光を届けます。風も上下に通り抜け、建物全体にゆっくりと空気が流れます。


3階のコの字型プランの空いた空間に、透明なファイバーグレーチングのベランダをつくり、光が下階へ入りやすくしています。グレーチングは風も通り抜けます。


グレーチングを通した光が2階室内奥まで届きます。



2階西側は近隣建物の窓位置と視線が合わないように天井付近の高い位置に窓を取り付けています。視線を感じることなく、青空が見え明るい空間になっています。



1階には光風舎の事務所があり、道路側に大きな窓から、朝陽が入り緑が眺められます。

このように住宅に囲まれた狭小敷地でも、建物中央に空間を設けるコの字型のプランにすることで、空いた空間から、室内へ太陽の陽ざしが入り、風が建物全体に通り抜ける住宅をつくることができます。