生活と仕事が繋がっているのがいい。島の良さは、いい具合に循環しているところ、人の営みを身近に感じ見ることができる。収穫物を市場へ持って行けば買ってくれる、そして売ってくれる。色とりどりの山や海の幸、肉もパックでは売っていない塊だ。自然からとって何でもつくる。シンプルであたり前なことだけど、そんなことが新鮮に感じられた。 分業化が進んでしまって、専門のことをやっていて全体が把握できず、自分が何をやっているのか良くわからないけど、毎日働きお金がもらえ生活できる、そんなのウソじゃないだろうか? 羽田から那覇まで3時間、直ぐに乗り継ぎ石垣島まで1時間。飛行機から降りたとたん南国特有のあまったるい空気が押し寄せてきた。
ガイドブックほぼチエックしていなく早速、島唄酒場に入り泡盛片手に、島のこと、観光スポット、食べ物屋さん、秘密のビーチなどなど色々教えてもらう。島の若者は本土へ出てゆくが、最近は本土から移住してくるたちが増えてきている。特に北海道と関西の人が多いとのことだ。ふらりと立ち寄ったレゲイ飲み屋の大阪出身の店主も、初めはキャンプしながらホテルのバイトで暮らしてたのだけど、台風でテントが飛ばされ路頭に迷っていたところ、運よく今の店を任され、店に寝泊まりしながら切り盛りしていると言っていた。ウソのような本当の話。
いろんな島の話を聞き、石垣島から船で竹富島に渡る。竹富島は人口300人の小さな島、沖縄の美しい原風景がそのまま残っている。赤瓦屋根の上のシーサー、珊瑚の塀、ブーゲンビリアやハイビスカス、水牛車に乗って白い道を行く。満月の夜は珊瑚でできた町が青白く光り、浜辺も海ほたるで発光し、何処からともなくサンシンの音が聞こえてくる、なんとも幻想的な小さな楽園。
この島には、先祖から受継いだ伝統文化や町並みを守るための「竹富島憲章」がある。その基本理念は、売らない・汚さない・乱さない・壊さない・生かすの五つ。島の外の人に土地を売らず、景観や環境を乱さず、伝統芸能や地場産業を生かそうというものだ。あたり前のことだけどすごく難しいことだと思う。インフラを整え、観光施設などを誘致すれば、島の経済も潤い便利になるだろう。しかし島人たちはそういった方法を選ばなかった。島人たちの想により、竹富島の美しい環境がつくられているのだ。
家づくりニュース記事より