「ここちよい」モノや場所が、家族の間で話し合われるようになったら、もう少し具体的なイメージについて書いていきましょう。私たちは、基本的な設計をする前に、まず建主さんに「住まいの要望書」を書いていただいています。「住まいの要望書」の書きかたは人それぞれで、書きやすい方法で自由につくっていただいています。A4用紙1枚くらいの方もいらっしゃれば、数ページにおよぶ方もいらっしゃいます。例えば下記をご参考にしてください。
■家族構成
例:ご主人(職業 36歳)、奥様(職業 35歳)、長女(小学校2年)、次男(保育園)、猫1匹(2歳)
■大まかな家のイメージ
例:奇抜なものは苦手です。とはいえハウスメーカーや建売住宅のような外観も好きでなく、落ち着いた感じのものがよいです。メンテナンスがそれほどかからないものがよいです。木造の2階建て希望。
■現在の一日の家族のスケジュール・生活の様子
例:朝は、夫婦交代で朝食つくり。夫婦どちらかが行けるほうが保育園へ長男と登園。長女は徒歩で学校へ。猫はお留守番。自転車で駅まで行く。
夕方:平日の夕飯は奥様がつくることが多い。休日は家族でつくることもある。長女はキッチンのテーブルで宿題。
■リビングやキッチン、寝室、浴室など部屋に対しての希望
例:・リビングはソファを置く予定。でもゆかにゴロっと寝ころべる座卓もいいなと思い迷っています。
・キッチンカウンターは、リビングのほうを向いて、子供たちの様子がわかるようにしたい。
・収納はたくさんほしい。できれば玄関にシューズクローク。キッチンにパントリー。
・子供の部屋は、まだ小さいのでひとつの部屋でよい。中学生くらいになったら、本棚などで簡単に仕切れるようにしたい。
・リビングは1階か2階か迷っています。日当たりを考えれば2階でしょうか。明るいリビング希望。
・家事動線はできるだけ短くなるとうれしい。
■家族の趣味、特別なスペースについて。
例:・小さくてよいので、夫婦別々のワークスペース(デスクと本棚)がほしい。
・子供がリビングで勉強できるスペースがほしい。
・子供の部屋の壁に絵が描けるようにしたい。
・子供の工作や絵を飾れるところがほしい。
・読書が趣味で沢山本があるので、本棚は沢山ほしい。
・年に数回両親が泊まりにくるので、和室か畳のスペースが必要。
■外構
例:・駐車場は無くてよい。家族の自転車のスペースは必要。
・小さくてもよいので、花が植えられる土の部分と玄関に細長い木が植えたい。
■持ち込みたい家具や設備機器など
例:・ダイニングテーブル+椅子、ソファ、冷蔵庫、洗濯機など。
・飾りたい絵や写真など。
■そのほか
例:・耐震性は安心できるものにしてほしい。
・大掛かりな設備をいれるのではなく、自然に夏は涼しく冬は暖かい家。
・予算内でできるだけ自然素材を使いたい。床は無垢のフローリングがよい。
■ご予算
・全額自己資金の方もいらっしゃいますが、大抵は自己資金+銀行などの住宅ローンの組合せが多いです。予算は大切なことですので、銀行を何社か当たってみて、どのくらいの予算がたてられそうか、きちんと確認されるほうがよいです。フラット35を利用される方もいらっしゃいます。
私たちの事務所では、ご予算の計画をたてるときにアドバイスができるコーデイネーターの方をご紹介することもできます。
家族構成は、ご夫婦だけの方から2世帯、3世帯住宅の大家族まで、さまざまです。人数が多い場合、全員の意見をひとつにまとめるのはかなり大変です。そんなときは、それぞれの方のご希望を書いていただいています。当然矛盾したり、意見が違っていたりすることもありますが、それはそれで大丈夫です。まずは、「こんな家に住みたい!」と思ったご希望を全部書いてみてください。
家づくりは、敷地の状況やご予算などいろいろなことが絡んできますので、全部のご希望がかなうとはいいきれませんが、ご家族のみなさんと一緒に「優先順位」を考えながら、ご要望を「整理」していく作業をおこなっていきます。ですので、ご要望の「優先順位」をご要望と一緒に書いておいていただくととても伝わりやすいです。
例えば、優先順位(A:高い・B:できればほしい・C:予算に余裕があれば)は3段階で記号をつけてあるととてもわかりやすいですね。
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