「その街ならでは」の景色-kurimoto

友達の結婚式出席のため地元・愛知へ帰ったついでに、愛知県常滑市へ行ってきました。常滑焼で知られる、常滑です。
代表的な常滑焼は赤褐色の小ぶりの急須、と言ったらおわかりいただけるでしょうか。
家庭でも職場でも、お店でもそこらじゅうでよく見かける、アレです。
酸化鉄を多く含んだ土で造るため、使用時にお茶のタンニンと反応して苦味が取れてまろやかになり、美味しくなるんだとか。

常滑は古来から窯業が盛んであり、瀬戸・越前・信楽・丹波・備前と並んで日本六古窯のひとつで、中でも最古最大のものでした。
明治時代になると、土管やタイルの製作が盛んになります。
そんな中生まれた「伊奈製陶」は、便器やタイルで有名なINAXの前身企業です。

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戦災を免れた常滑の町には、窯や古い建物が残り、焼き物の街の面影を残しています。
斜面に沿ってくねくね曲がる道沿いに黒い板壁の古い建物が並ぶ様は、なんとも趣きあるもの。
それらの建物は今では常滑焼のギャラリー、カフェなどに生まれ変わり、一帯は「やきものの散歩道」として整備されています。およそ所要時間1時間ほどのコースなのですが、坂道あり、細いくねくね道あり、急に眺望が開ける場所あり、歩いていてとてもワクワクする道です。

街には窯の煙突も残っています。
以前は至るところとてもたくさんの煙突がたっていたのに、老朽化が進んで取り壊され随分数が減っているようです。
現代では貴重な「その街ならでは」の風景が消えていってしまうのは寂しい限り。

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「常滑ならでは」の風景を作り出しているのは、煙突だけではありません。
特産の焼き物を使って街が作られました。

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コチラの崖の土止めは、写真左手は土管、右手は焼酎の甕が使われています。
地面には焼き物が埋め込まれています。

1002124_2 コチラでは建物の基礎に土管を使っちゃってます。
現代の建築基準法ではこんなこと出来ませんね。

今みたいに何でも物が手に入らなかった時代、手近な物を使って工夫してたんですね。
それが「その街ならでは」の風景を作り出していた・・・
日本全国画一化が進み、新幹線に何時間乗っていても、ひたすら同じ景色が続いていく昨今、常滑はとても貴重な街だと思います。